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個別労働関係紛争解決促進法―成立の経緯
裁判制度の硬直化

 日本の裁判制度は、「あっせん」の簡易、迅速、低費用(平たく言えば、手軽で、速く、安上がり)の全く逆をいく複雑、遅速、高費用(めんどくさくて、なかなか決まりがつかないのに、そのくせカネばかりかかる)というなんとも一般の国民にとっては使い勝手の悪い制度になってしまっています。 長時間が経過してしまったため結審しても誰も利益を得られなかったというような裁判の意義が全く失われてしまった裁判例も多々あります。 政府が司法制度審議会を発足させて、司法制度のあり方を再検討し始めたのもそんな矛盾に国民が反発しているからです。
労働組合の組織率の低下

 日本は終戦以来、アメリカの指導もあり、各企業に政策的に労働組合を作らせてきましたが、高度経済成長とともに労働組合組織率が低下の一途をたどり、今では20%を切ってしまうまでになってしまいました。その結果それまでは当然集団的労使紛争となっていたものまで個別労使紛争になってしまったのです。
雇用形態の多様化

 更に、高度成長の衰退とともに企業の雇用環境も悪化し始め、その結果として雇用形態の多様化が顕著になってきました。 正社員、パート、アルバイト、派遣社員、業務請負等々。
 ところが日本の労働組合は企業内組合がほとんどで、組合活動は伝統的に社員の賃金や福利厚生を一律的に求めてきました。そのため多様化した労働者の個々の問題に対してはノウハウの蓄積も無く、今や積極的に対応するためのエネルギーも持ち合わせてはいません。
日本の労働紛争処理の遅れ

 諸外国、特にドイツを始めとするヨーロッパの労働紛争処理は日本とは全く違い、簡易、迅速、低廉(費用が安いということ)な、労働者に優しい処理制度を持っています。 ドイツでは近年労働裁判所に持ち込まれる紛争は60万件を超えているということです。 ちなみに日本の労働裁判の申請数は3,000件程度であり、ドイツに比べその件数はなんと200分の1程度でしかありませ。日本の労働者がこれらの諸国と比べて圧倒的に有利な労働条件で仕事をしているわけはないので、労働紛争処理がいかに遅れているかがわかるでしょう。
その結果・・・

 以上のような裁判制度の硬直化、労働組合組織率の低下による労働組合が関与しない紛争の増加、企業別労働組合では対応しきれない雇用形態の多様化、ヨーロッパ諸国に比べ大きく遅れている労働紛争処理制度等、日本の労働者が置かれた劣悪な労使関係を改善するためにできたのがこの「個別労働関係紛争解決促進法」なのです。
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